- おちる
- おちる【落ちる】(1)高い所から低い所へ移動する。 (ア)(「墜ちる」とも書く)それ自身の重みによって上から下へ移る。
「屋根から~・ちた」「過って池に~・ちた」「滴が~・ちる」「財布が~・ちている」(イ)空から雨・雪などが降る。 「大粒の雨が~・ちて来た」「雷が~・ちる」(ウ)勢いよく降りる。 「滝となって~・ちる」「大鹿二つ妻鹿一つ…一つの谷へぞ~・ちたりける/平家 9」(エ)光や影が物の上に映る。 「並木の影が路上に~・ちる」「月影が水に~・ちる」(オ)橋など高い所にあるものが崩れてこわれる。 「橋が~・ちた」「壁が~・ちた」
(2)もとあったものがなくなる。 (ア)付いていたものがとれて, なくなる。「汚れが~・ちる」「葉の~・ちた木」(イ)含まれているはずのものが, なくなる。 「彼の名が名簿から~・ちた」(ウ)病気・狐など身にとりついていたものがなくなって, 正常に戻る。 「憑(ツ)き物が~・ちる」(エ)そろっているはずのものが抜けて, 不完全になる。 「一夜も~・ちず夢(イメ)にし見ゆる/万葉 3647」
(3)程度が低くなる。 (ア)高い程度・段階にあったものが低い程度・段階に変化する。「人気が~・ちる」「スピードが~・ちる」「風が~・ちる」(イ)良い状態にあったものが悪い状態に変化する。 「味が~・ちる」「鮮度が~・ちる」(ウ)他に比べて劣った状態である。 「量産品は品が~・ちる」「兄より弟の方が成績が~・ちる」(エ)(話が)卑猥なことにふれる。 みだらになる。 「あいつが入ると話が~・ちる」
(4)社会的な地位や所属が上位から下位に移る。 (ア)身分・家柄などが低くなる。「二軍に~・ちる」「かうまで~・つべき宿世ありければにや/源氏(蓬生)」(イ)(「堕ちる」とも書く)人間の品格などが下がる。 堕落する。 「かつての英雄も~・ちたものだ」(ウ)(「堕ちる」とも書く)望みや救いのない所にはまり込んで身動きできなくなる。 「地獄に~・ちる」
(5)ある水準や条件に達しないために受け入れられない。「試験に~・ちる」「前回の選挙で~・ちた」
(6)その状態を持ちこたえられなくなる。 (ア)(都などから)逃げ去る。「西国に~・ちる」「平家都を~・ちはてぬ/平家 7」(イ)白状する。 「さすがの犯人も子供の写真を見せられると~・ちた」(ウ)相手に従う。 「金では~・ちない人だ」
(7)決着がつく。 (ア)ある所に落ち着く。「最後は身の上話に~・ちた」「眠りに~・ちる」(イ)入札・無尽などの結果が出る。 「絵は A 氏に~・ちた」(ウ)手形などが決済される。 「手形が~・ちない」
(8)(動物が)死ぬ。 (柔道などで)気絶する。「小鳥が~・ちた」「~・ちた肴を吟味の役人/浄瑠璃・宵庚申(上)」
〔「おとす」に対する自動詞〕︱慣用︱ 語るに~・地に~・手に~・ほっぺたが~・目から鱗(ウロコ)が~/巨星墜つ・人後(ジンゴ)に落ちない・腑に落ちない
Japanese explanatory dictionaries. 2013.